いくつかの研究から旅行が認知症の予防に効果的だという結果が報告されています。私どもは、認知症予防の研究の成果を生かしながら旅行という活動を通じてツアー参加者の認知症予防を支援してまいります。

実施内容

①無料セミナー:認知症予防のための旅行に興味のある方に対して、認知症予防の研究者である矢冨直美が講師として、「旅行と認知症予防」と題したZoomを利用した無料セミナーを実施します。参加できなかった人は、YouTubeの動画でもご覧いただけます。
②ツアー:山梨県富士五胡エリアで、写真撮影ツアー、トレッキングツアー、バードウォッチングツアーを行います。2021年秋季は入門ツアーとして全くの初心者の方も参加できるものになっています。ツアーは、地元のプロのガイド指導者のもと、5人程度の小グループに分かれて実施します。ツアーでは、指導者の案内をスマホのLINEグループの無料通話を使って行います。
③コミュニティ:ツアーの参加者がそれぞれの興味に応じてトレッキング、バードウォッチング、写真撮影のコミュニティを作る場を用意します。コミュニティのメンバー同士でスマホのLINEで交流します。そこでは、認知症予防の研究者も加わり、ツアーの計画を立てたり、記憶をもとにツアーのメッセージを交わしたり、写真のコンテストをしたりして、段取り機能(計画力)、記憶機能、注意機能を鍛える場を提供します。

認知症予防と旅行

認知症予防の研究のからは、認知症になるまえに実行機能注意機能記憶機能が低下することがわかっています。これらの機能を鍛えて認知的な予備力を強化しておくことが認知症による認知障害に対抗する方法であることが明らかになっています。

実行機能を使う点では、旅行は最たる活動です。実行機能は、初めて何かに取り組むときに最も発揮される機能です。旅行は、ほとんど初めての場所に行き、そこで何か新しい体験をしたり、初めてのおいしいものを食べたりします。旅行という活動には、どこでどんなことをしたいのか、それを実現するにはどのようにすればよいのか、それをどのように計画するのか、また、実際に起こっていることは計画どおりに進んでいるのか、そうでなければ、どう計画を変更するのか、といった具合に状況を見定め、行動を管理する能力が問われます。こうした一連の管理能力を実行機能と呼んでいます。

また、認知症予防には、実行機能のほかに、注意分割機能を使うことも重要だと考えられます。特に注意分割機能が衰えると認知症に急速に進んでいくといわれています。例えば、人と話しながら歩くということが認知症の人にはできなくなります。旅行の中で、努めて歩きながら話をすることを奨励していきます。また、特に山道などの舗装されていない道での歩きは、足の置き場を注意しながら歩きますので注意機能を鍛える格好の場面になっています。

認知症を予防するには、エピソード記憶という種類の記憶を衰えさせなことも重要です。私どもが実施する旅行ではこのエピソード記憶を使うことを意識的に行います。旅行が終わってスマホのLINEグループのトークを使って写真などを見ながら記憶をもとに旅行仲間と語り合うことを行います。これが記憶力を鍛えることになっているというわけです。

最近の研究では、人と目的を共有し、その目的を達成するために共に活動するいわゆる社会参加が、様々な機能を維持するのに最も重要な要因であることが示されてきました。こうした研究結果を踏まえ、私どもの旅行では、スマホのLINEグループのトーク(写真やメッセージの交換)機能を使って、実行機能、注意機能、記憶機能を積極的に使う社会参加の場を設け、認知症予防の成果を上げていきたいと考えています。

その運営には、認知症予防の実践を積んだ研究スタッフが当たります。こうした点が、一般的な旅行社が提供するツアーと大いに異なると点だと自負しております。どうぞ、皆様、旅行を楽しむことを通じた認知症予防をやってみませんか?